種と土と野菜の学校 石井ピュアファーム通信vol.35 2021年7月25日配信号
「種と土と野菜の学校 石井ピュアファーム」の会員向けメルマガ通信から抜粋したものを掲載しています。
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梅雨が明けて暑さが本格的なってきました。
無肥料栽培では畑に水遣りを一切しないので雨が降る前日に種蒔きをしますが、最近雨の予報がないので種蒔きはまだ先になりそうです。畑の野菜たちは、暑くて雨が降らなくても、根っこが水分を求めて奥深く根を伸ばして自分の力で水分を探します。
たくましく成長し、次の世代につなぐために種になった種子はとても強い種になります。
特に自家採種した種から育った野菜は、過酷な環境を経験しているので、暑さにも負けず、雨が降らなくても子孫を残すために、元気に成長してくれます。
(事務局 李)
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ー 最近の異常気象 ー
世界中で異常気象が起きていてどこで何がどうなってもおかしくないほど地球は狂っています。
気象庁からの情報では
米国南西部では、6月11日頃から顕著な高温が続いており、週末にかけて広い範囲で記録的な高温が継続する見込みとなっています。 6月15日にユタ州ソルトレークシティでは最高気温約41.7℃、6月17日にアリゾナ州フェニックスでは最高気温約47.8℃を観測しました(米国海洋大気庁)。
ヨーロッパ東部~ロシア西部、東シベリア、及び、カナダ西部~米国北西部では、6月下旬から顕著な高温が続いています。
カナダ西部のリットン(Lytton)では、6月29日に日最高気温49.6℃を記録して、カナダにおける最高気温の記録を更新しました(カナダ気象局)。ほか、ロシアのモスクワでは6月23日に34.8℃、ロシア東部のビリュイスクでは6月22日に36.5℃、米国のオレゴン州ポートランドでは6月28日に46.7℃の日最高気温が観測されました(ロシア水文気象センター、米国海洋大気庁)。
これらの一連の顕著な高温は、北半球全体で偏西風の蛇行が大きくなったためと考えられます。また、顕著な高温の背景には地球温暖化に伴う全球的な気温の上昇傾向も影響したと考えられます。
(なお、偏西風は日本上空では南に蛇行しており、6月下旬の梅雨前線の南下や上空の寒気に伴う不安定な天候に寄与した可能性があります。
ヨーロッパ中部では、7月12日~15日頃の大雨により、広範囲で洪水が発生し、ドイツやベルギーを中心に190人以上が死亡したと伝えられています(欧州委員会)。ドイツ西部のリューデンシャイトでは、7月14日の1日間で、7月の平年の月降水量(97.1mm)の約1.5倍に相当する143.0mmの降水量を観測しました。
今般の大雨は、ヨーロッパ中部で寒気を伴った上空の低気圧が停滞したことが一因と考えられます
7月18日には中国北京でも大洪水が起きています。
アフリカではなんと雪が降りました!
中国気象庁は5月下旬、「通常、北緯20度前後に位置する亜熱帯高気圧が著しく北上し、北側に冷たい空気が勢いよく南下したことにより、長江以南の地域に多くの雨が降っている」とその原因を説明した上で、「長江流域では今後も大雨が頻繁に続く予定であり、洪水が起きる可能性が高い」と警告を発した。
中国水利省も「今年の6月から8月にかけて(長江流域に加えて)北部の黄河、海河などでも大規模な洪水が発生する可能性がある」との見解を示し、「今年は最悪の洪水被害が出るのではないか」との懸念を示していた。
中国では長江の大雨のほかに、東北部の黒竜江省で5月下旬に大雪が降るという珍事も起きているが、異常気象の原因は偏西風の蛇行である。偏西風とは北極と中緯度の境界を流れるジェット気流のことである。近年偏西風の蛇行が毎年のように起きており、世界各地で多大な被害をもたらしている。
中国の長江流域が例年よりも早く洪水期に入ったようだが、去年の初夏も中国南部は大洪水に見舞われた。長江流域では6月から断続的に大雨が降り、7月の降水量は1961年以来最多となった。重慶市は80年に1度の集中豪雨に見舞われ、三峡ダムは建設以来の最高水位を記録し、連日のように国内外のメディアは「ダムの崩壊が近づいている」と報じていた。
「コメの絶対的自給」に赤信号
中国の主要穀物(コメ、小麦、大豆、トウモロコシ)の生産地の重心は北方地域にあるが、コメに限っていえば、生産の中心は南方地域にある。水稲の作付け面積は南方地域が全国の8割、長江流域だけで6割を占める。中国ではコメの3毛作が一般的であるが、昨年は3回の生産サイクルのすべてで豪雨による被害を受けた。
中国政府が今年1月に発表した報告書によれば、昨年南部地域は1998年以来最も深刻な増水に遭遇し、農作物の被災面積は約1996万ヘクタールに達したという。その被害規模は中国の全耕地面積(約1億3486万ヘクタール、2017年時点)の約15%に相当する甚大なものだった。「長江流域がこれだけの自然災害を被ればコメ不足に陥るのは必至である」と判断する向きが少なくなかったが、予想に反して中国政府は「全国レベルで引き続きコメの供給は順調だった」と総括している。
中国政府が講じたコメ対策は、(1)増産、(2)食品ロスの削減、(3)備蓄米の放出、(4)海外からの緊急輸入などである。
まず増産だが、中国政府は四川省や湖北省などの農家に補助金を支払って果樹からコメへの作物転換を促した。しかし農民が政府の増産の呼びかけに応じたかどうかについては疑問符がついている。近年、農民の間で農業に対する意欲が減退しているからである。この傾向は特に若い世代に顕著であり、膨大な面積の耕作放棄地が各地に広がっている。土壌汚染の深刻化により、基準値以上のカドミウムを含むコメが全国に大量に出回っているという問題もある。このような状況から「農民に土地所有権を与え、都市住民と同じ権利・福祉を付与しない限り、解決できない難題である」との認識が強まっている。
次に食品ロスの削減だが、長江地域の洪水被害が生じた昨年8月から習近平指導部は食品ロスのキャンペーンを実施した。効果のほどは定かではないが、中国で1年に出る残飯の量は3000万~5000万人分の1年間の食料に相当するという。
さらに備蓄米の放出だが、中国政府は昨年8月、360万トンの備蓄米を市場に放出した。安全保障上の理由で中国の国家の穀物備蓄量は公表されていない。
最後に、海外からの緊急輸入だが、昨年12月、中国は世界最大のコメ輸出国であるインドから10万トンのコメを輸入する契約に調印した。中国はタイやパキスタンなどからコメを輸入しているが、コメの自給率は95%を維持しているとされている。
中国は2005年に主要穀物の世界最大の輸入国となったが、国民のメシ(主食用穀物)であるコメについては「絶対的に自給する」と政府は宣言している。主食用穀物の絶対的自給を確保できなければ、他の食料の輸入が脅かされた場合、国内での飢餓などの混乱を回避できないと考えているからである。
「毛沢東時代に使用した食料配給切符が一部地域で復活するのではないか」と危惧されていたが、昨年の大水害はなんとか乗り切った。しかし、今年も同様の被害が出るのであれば、中国政府が公約する「コメの絶対的自給」に赤信号が灯る可能性がある。中国はこれまで外国からの円滑な食糧調達を期待できたが、米中対立の激化など国際環境が変動するなか、未曾有の危機を乗り切ることができるのだろうか。
日本は食料を含めて中国に完全委託しているために、中国も自国消費のための備蓄に入り、とても日本に輸出する余裕がありません。
自給率が30%を切った今の日本の状況では、他国から入らなければ食糧難がいつ起きてもおかしくありません。
また他国ごとではなく、日本もいつ災害が起きてもおかしくない状況でもあります。
このような世界情勢を考えると食料の確保は必須です。ある程度(1~3か月程度)の備蓄をしていく方がよいでしょう。
畑を持っているのであれば、いろいろな種類の野菜を作っていれば少しは安心ですが、購入だけしている人やプランター程度ではとても備蓄にはなりません。
なので、できるだけ家の近くで、畑を探して取り組んでほしいと思います。
無肥料栽培なら何処でも誰でも取り組めるので、生きるためにとにかく無肥料栽培を勉強してチャレンジしてください。
たとえ畑がない方でもせめて種を確保することは大切です。
種は、今は販売されていても来年は手に入らないことがあります。種さえ持っていれば、来年でも再来年でも撒くことができるのです。種の世界もどんどんゲノム編集が一般化してきているので、まともな固定種は無くなっていきます。
自然界のものが、人間の都合で品種改良され、固定種や在来種の種を探しても、もうどこにもない…という時代が間近に迫っています。自家採種して純粋な種を残していくことは、人間が命をつないでいくに等しい行いです。
〈種まき情報〉
雨が少ないので撒く時期が限られていますが、今から負けるのは結構あります。どんどん種を撒いてたくさん収穫して備蓄しなければ。
キャベツ、白菜、にんじん、ネギ、小松菜、大根、春菊、青梗菜、キュウリ、ブロッコリー、カリフラワー。
〈収穫情報〉
ゴボウ、キュウリ、ツルムラサキ、モロヘイヤ、エンサイ、トマト、オクラ、ピーマン、ゴーヤ、ナス、大葉
(石井)
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(勉強会)ー 無肥料栽培の連作 ー
通常の連作障害とは違って、無肥料栽培の場合には連作による障害というよりも別の理由があることが多いのです。
その理由とは、①種と②土と③環境の3つが考えられます。
①種による場合というのは、新しい購入種子で自家採取すると3年ぐらいで、まるで生育障害のように育たなくなる時があります。また、ほとんど芽が出ないこともあります。
また、種を取るのに少ない圃場から自家採取すると段々と実が小さくなったり取れなくなったりします。
このときは、広い圃場から採取したり他人の種と合わせて蒔くことが必要です。
こういった内容は、決して連作障害ではありません。
これはあくまでも、種が無肥料栽培に適応していく過程で起こるターニングポイントなんです。
この状態は、無肥料栽培で自家採取の種を使って栽培している以上、避けては通れない試練ですから。
②土の条件による場合とは野菜を作る経験値による作付けの良し悪しで決まることがあるのです。
土の中の微生物が、細かい根の周りで栄養成分を吸収できるようにしているので同じ作物の方が効果が高いのです。
そのため、③環境の条件が出てきます。同じ作物を繰り返すことによってだんだんと良くなるというのが無肥料栽培の考え方です。
しかし、前作の作物によっては微生物の活動に差が出てしまいます。
連作をすることが大前提ですが、中には前作によって連作がうまく行かない作物もあります。
この場合、連作していたのに急に作物を変えた場合に良く起こります。
難しくはありません。
作物を良く見ていると分かります。
生育途中で葉が枯れてきたり、育たなくなったり、芽が出なかったりするのは今までの環境と大きく違うことを意味します。
その理由を観察して答えを出しましょう。
ちょっとしたことで、解決しますよ。
無肥料栽培の農法の場合には、既存の農学として答えを当てはめないことです。
全ては、自然界のなすがままを観察してほんの少し人間がお手伝いをするということです。
決して、自然界の邪魔をしてはいけません。
それほど本来、自然界はピュアな世界なんですよ
(石井)
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🍉石井ピュアファーム農業研修生、卒業生をご紹介します。
お近くの方、ご興味がある方は、ぜひ連絡して繋がってください。
🥬タネカラ農園
E-mail:tanekaranouen@gmail.com
Insta: tanekaranouen
志賀島、勝馬で荒れ地を開墾して開園し4年目になります。
初年度からこつこつ自家採種をして、最近やっと色んな種が揃ってきました!が、今夏は大好物の小豆(4種類)、大豆(白、黒)に絞って栽培しているところです。今冬はぜひ無肥料無農薬栽培の小豆、大豆で寒い季節に温まるお料理をお楽しみください!
今後は勝馬を拠点にイベントなども考えて行きたいと思います♪
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