種と土と野菜の学校 石井ピュアファーム通信vol.22 2020年6月25日配信号
「種と土と野菜の学校 石井ピュアファーム」の会員向けメルマガ通信から抜粋したものを掲載しています。
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【石井吉彦のメルマガセミナー】
「無肥料栽培での野菜作り」
無肥料栽培での野菜を作り始めると、心配であれこれと手を掛けたくなりますが、では、どのように手をかけてあげればよいのか?が分からなくなってくるでしょう。
例えば、水遣りをしなければ枯れてしまうのでは?剪定はどうすればよいのか?棒が必要となった作物は何本立てにすればよいのか?間引きの時期は?間引いたものを他の畑に再度植えるには?葉先を摘むのは何時ごろか?などなど疑問が出てくるでしょう。
基本的に無農薬無肥料栽培では、人間が手を掛けるのはほぼありません。ただ、収量を増やすために病害虫や鳥獣によって収穫出来なくなることは避けたいので、最低限の必要な処置を施しますが、その場合も注意が必要です。
特にトマトやピーマンなど共育ちによって何本も育って大きく成ってくるとジャングルのようになってしまうので、間引きを行いたくなります。しかし、間引きをした時に根を動かすと、その後に残す根も一緒に動いてしまいます。そのストレスによって茎が病気になってしまい枯れてしまったり、折れてしまうこともあるので、間引きをする必要はありません。
大切なのは根の周りに光や風が当たるようにすることです。盃型に根を残して周りの茎は取り除きましょう。根の周りに光を当て、風を通すことが大切です。
また、今年は例年に比べて気温が高く、鳥獣や虫たちも活発に動いているようです。
草の伸びも例年異常に早い気がします。草の管理では、生えてきてほしくないので根こそぎ抜きたくなるでしょうが、その作業は大変です。また、土の中に団粒構造を作りたいのであれば(水捌けが悪いとか水持ちが良くない、土が硬いなどの改善を図りたいのであれば)根こそぎ抜くのはやめましょう。草の表面を刈り取る程度にして根を残すようにしてください。直ぐにまた伸びてきてしまうので大変だ!という方もいますが、お金もかけず時間もかからずその草を利用して土作りが出来るのであれば良いではないでしょうか?良い作物を作りたいのであれば、その時の作物に手を掛けることを考えるのではなく、土の状態を良くすることを考えて「いま必要なことは?」を考えていけば、後々なんでも良く育つようになります。
作物の根だけに頼って土の状態を良くするのでは時間がかかるので、ぜひ草も利用していきましょう。
草が小さいうちに鎌で土を掻き、絶対に草をはやしたくないという人もいますが、そうすると結果として作物も生えて来なくなります。草は微生物を集めたり、土を良くしたりとある意味働き物なのです。草を利用しないと無肥料栽培では上手くいきません。
九州は草の生え方がとても早く二週間で畑が草原になってしまいます。最初は大変な場所だ!と思ったのですが、考え方を変えてみると、どんどん根を伸ばして土作りをしてくれるのだから、こんないいことはないと思っています。草を大いに利用して、草と共存しながら何でも作れる土にしましょう。
夏野菜は管理作業も増えてきますが、1つの作物に生育に欠かせない管理作業はあります。優先順位を出来るだけ上げて、草刈りだけで終わらせることがないように順番に1つずつ作業をしてください。管理作業では作物の周りの除草を始め、風通しを良くするための剪定や支柱立て、網張りや間引きがあります。また、今の時期まで引っ張ってきた種取り作業も重なってきます。あらゆる作業が重なり忙しいですが、時間と優先順位を考えて対処しましょう。皆さんも暑いので、水分補給や休憩は必ず摂ってください。作物の管理だけではなくご自分の健康管理も行って下さい。
<収穫出来る野菜>
エンサイ、ツルムラサキ、キュウリ、ジャガイモ、赤ジャガイモ、赤玉ねぎ、葉玉ねぎ、ネギ、ラッキョウ、ズッキーニ、ピーマン、ラデッシュ
<これから収穫が始まる野菜>
インゲン、大根、ミニトマト、シシトウ、カボチャ、オクラです。
<種まき情報>
この時期は収穫が終えた畑を秋の準備のために耕起しておきます。
九州地方では、今の時期は二週間で草原になるので畑の窒素残渣や余分な肥料分の除去を図るために草を有効活用しましょう。
(石井)
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石井ピュアファームの5年目の畑で出来た地這えキュウリを食べてみました。先ずは香りの良さにびっくり!全く水を与えなくても本当にみずみずしい美味しいキュウリです。塩漬け、塩麴漬け、甘酢漬け、ピクルス等いろいろと作っていますが、どれも最高に美味しいです!! (事務局 李栄子)